Johnson Lifelog | Cornell MBA 留学記

コーネル大学ジョンソン経営大学院にてMBA留学中。コーネルMBAの合格体験記、留学生活の紹介に加え、ホスピタリティ、デザイン関連のトピックを扱います。

Booking.comがTV広告拡大へ

ビジネススクールにおいて、ホスピタリティビジネスがちょくちょく取り上げられるのが個人的にはとても興味深いです。

今のところ、テクノロジーとの関連でOTAがトピックスとなることが多いように思います。このニュースについてもまさに、学外のケースコンペのトピックと関連していたので備忘としてまとめておきます。

 

 

skift.com

 

OTAとして世界最大のグループ売上高を誇るプライスライングループ(Priceline Group: World’s Leading Provider of Online Travel)の中核企業であり、日本でも事業展開をしているブッキングドットコム(Booking.com: 1,518,990 hotels worldwide. 134+ million hotel reviews.)が、直接予約の獲得を目的に、従来のペイパークリック型重視の広告からテレビ広告の比重を上げるようです。

2016年には12カ国で実施されていたテレビ広告を、倍以上の30カ国へ拡大、テレビ広告費を55%増加させる(一方でデジタル広告は縮小されると想定されます)

判断の裏には、グーグルアドワーズからトリップアドバイザー・トリバゴでのリスティングに渡る成果報酬型広告が、ダイレクトトラフィックや顧客との1to1の関係性の向上につながるかどうかの評価があり、今後も検証を続ける。

トリバゴは、収益の45%前後をプライスライングループから獲得しており、また、トリップアドバイザーの収益の約50%がエクスペディアとプライスラインからもたらされていることを考えると、これらOTAメタサーチにとって、今回のプライスライングループの決断は大きな脅威となります。

興味深いのは、これまでTV広告重視で進めてきたトリバゴが、その戦略を見直しデジタルマーケティングを増加させるという対象的なアナウンスをしたことです。

 

【受験雑感_3】キャンパスビジットは必要か?

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早いもので、もう11月。11月の2ndラウンドで出願してからもうすぐ1年です。

 

受験生の方とスカイプ等でお話する中で「キャンパスビジットは必要か?」というご質問を頂くことが多いので、私の経験をまとめておきます。

 

結論から言うと、こんな感じです。

  • アプリケーションにリアリティと迫力を持たせられたのは、ビジットの影響がとても大きい
  • ただ、ビジットしないと受からないということは無い(学校により違うと思いますが…)

私は出願1年前の2月に1回(Stern, Johnson, Tuck)、出願後オンキャンパスインタビューのために1回(Johnson)、合計2回ビジットしました。

インタビュー時のビジットは、ロイヤルティ(忠誠心?笑)を見せる&生活環境を確認する、というテーマでしたので、今回は、より出願に影響を与えた1回目のビジットのお話です。

 

1回目のビジットでは、 北米3校を5日間かけてビジットし、インフォメーションセッション、在校生とのコーヒーチャット、クラス見学などに参加しました。

 

1年後に自分がそこにいることが想像できるかどうか

「Fitってなんだよわけわかんねーよ!」と嘆いていた自分が、1年後にこんなことを言うのが不思議ですが、結構これが大きかったです。特に複数の学校を訪問したことで、より顕著に感じたと思います。

また、面白かったのが、インフォメーションセッションやクラス見学を一緒に行う受験生の雰囲気も、学校によって違って感じられました。

エッセイ&インタビューでのリアリティと迫力

エッセイやインタビューにおいて、ビジットをした自らの肌感覚としてのFitを伝えるとリアリティや迫力に差が出るビジネススクールの特色は、"leadership" "collaborative" "teamwork"など、抽象的かつ各校同じような単語で表されることが多いため、具体的にどんな点を通してそれらの特色を感じ取ったか、あるいは感じ取らなかったか、について考える大きな手助けになりました。逆に言えば、この辺をうまく作り込めるならビジットせずに問題ないかと思います。

在校生の優しさ、モチベーション

ビジットした3校とも、本当にお忙しい中在校生の皆様にご対応頂き、とてもありがたたかったとともに、同じ出願のプロセスを経て、実際に進学された方のお話をきいて、モチベーションが上がりました。尊敬できる先輩方に会えたのもとても良い経験でした。

ビジットしてもわからなかったこと

一方で、数時間~数日間のビジットでは、体験できる範囲が限られてしまうということも実感しました。 例えば、私のクラス見学はファイナンスのレクチャー形式のクラスだったため、いわゆるケースやディスカッションメインの授業を体感することは出来ませんでした。

また、コアチームでの課題やクラブ、課外活動等、実際に体験してみないとわからないことも多いため、どこまで深くプログラムについて理解できるかというと難しい部分もあるかと思います。そのあたりは、在校生に留学してから感じたギャップ等を質問して解決するのが良いかと思います。

 

 

いずれにしても、目標とする学校をビジットするのはとても良い経験になると思います、在校生にしっかりと甘えて、有意義なビジットにして下さい!

 

北米MBA出願者3年連続減少

Sep 19, Wall Street Journalより(web版は以下)

www.wsj.com

 

GMACが北米407校のビジネススクールに対して行った調査によると、2017年のフルタイムMBAへの出願者数が昨年対比で3.2%減少したとのこと。また、インターナショナルの出願者数は5.8%減少

就労ビザへの懸念などを理由に、インターナショナルの出願者がフランスのINSEADトロントのRotman SOM のような国外プログラムへ流れている。

一方で、1/3のビジネススクールでは出願者が増加しているようなので、一概に全てが落ち込んでいるわけではなく、生徒50名以下の小規模なプログラムが影響を受けているとのこと。

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ここ数年のH1Bの競争率や、それに伴って、ビザをスポンサーする企業数が減少している事(業界により)を踏まえると、2年間という時間と多大な学費を犠牲に北米MBAを目指すインターナショナルの出願者の数は今後も減少していくように思えます。

それにしても、北米にビジネススクールが400校以上もあるんですね。

一番初めに学んだ米国文化 - small talk

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突然ですが、small talkって知ってますか?

これみなさんの間では常識で、知らないの僕だけだったら恥ずかしいのですが、MBA受験される方は是非知っておくべき米国の文化です。いまだに、なんで誰も教えてくれなかったのかが不思議なくらい、インタビュー時に役立つと思います。

 

small talkとはいったい何?

さて、いったいsmall talkが何かと言うと、日本語で言うところの「雑談」です。

 

ここまで褒め称えておいて「雑談」かよ、という感じですが、米国においては、非常に重要なコミュニケーション文化です。米国外からのMBA生向けのオリエンテーションで、レクチャーとロールプレイを通して学ぶほど、重要なテーマ。

 

small talkは、テキストにて、

making small talk - everywhere you go

として一番はじめのテーマとして取り上げられており、以下のように定義づけられています。

Small talk is the casual conversation (chitchat) that people engage in when they don't know the people they are conversing with, when they are trying to fill time, or when they want to be friendly before getting down to business.

パーティーやネットワーキングイベント等で初対面の人と会話をする時にとどまらず、学校、職場、スーパーでのレジ待ち等、いつでもどこでも誰に会ってもこのsmall talk

内容は大したこともなく、天気やスポーツ、どこから来たのか等、まさしく「雑談」。

ただ、興味深いのは、米国人は、このsmall talkを「しないこと」についてかなりの違和感をもつそう。会話の間にできる沈黙や、初対面の人と挨拶をした際に訪れる一時の沈黙をawkward silenceと言い、これが皆さんお嫌いのようです(当然個人差はあるでしょうが)

日本人の僕からすれば、別に話したければ話せばいいし、なんなら朝から晩まで英語でそんな事していたらクタクタに疲れてしまうのですが、人にあった時、会話している時にsmall talkを続けずに沈黙してしまうのはもはやrudeとみなされてしまうようです。(繰り返しになりますが、年齢や性格などで個人差はあるでしょうが)

 

インタビューでのsmall talk

ここでひとつ思い当たるのが、オンキャンパスでインタビューを受けたときのこと。

集合場所に面接官が迎えに来て、彼女の部屋へ移動する際、

 

  • 天気はどう?
  • キャンパスはどう?
  • 昨日はどこに泊まったの?
  • インフォセッションでは誰と話したの?

 

と質問攻め。「あれ、これ面接始まってるのかしら?」というほど途切れなく質問をいただき、少し驚いた記憶があります。

今思えば、きっとこれがsmall talk。質問にただ答えるだけで、僕から会話を続けなかったために、逆に彼女に質問攻めをさせることになってしまったのだと思います。面接では第一印象が肝心、という話もありますが、この場合では、このsmall talkを通して、僕の第一印象が少なからず影響を受けたはずです。

いまもし、同じような面接を受け、

  • 天気はどう?

と聞かれたら、例えば、自分の素直な感想を言った後に、彼女の一番好きな季節を聞くとか。この季節のキャンパスでのおすすめスポットを聞くとか。米国文化を理解したsmall talkができるかなと思います。

ちなみに、small talkが盛り上がって、そのまま面接の大半を趣味の話に費やしたというクラスメイトもいました。

 

 インタビュー対策で、goalsやwhy MBA、behavioral questionsをガチガチに固めるのもいいですが、少しだけこのsmall talkに時間を割いて、Likability(これもいつか書きたいテーマです)を味方につけるのも良いかもしれません。

 

エッセイにおけるStorytellingの重要性

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 6月下旬に渡米をしてから早2ヶ月が経ちました。

MBA体験記や受験記録を全く書かずになんなのですが、先日受けた大学の一般公開講義の内容が、MBAエッセイにおけるstorytellingの重要性とリンクしていたので、メモします。

※storytellingとは、物語(ストーリー)通して語ること

 

講義のテーマは、

The Future Belongs to Those Who Tell the Best Stories: Advocacy Techniques in Great American Trials

米国における4つの裁判において、弁護人による効果的なstorytellingが、被告に不利な状況をいかに覆したか。

 

その中で語られた「(裁判において)なぜstorytellingが重要であるのか」という問いに対する、シンプルで納得感のある回答がなされました。

 

Facts don't speak by themselves.

Evidence and facts can't have persuasive power.

 

いかに優れた証拠や事実が揃っていても、それだけでは他人を説得できない。他人にアクションを起こさせたいのであれば、それらの証拠や事実を基に、storytellingを用いて争点を組み立てる必要がある、と補足がされていました。

 

「伝える」だけではなく「アクションを起こさせる」

ここからは私見ですが、MBAエッセイにおいても「ただ伝える」だけではなく「他人にアクションを起こさせる」という目的意識が非常に重要です。当たり前なことですが、意外と見落としがち。

自分自身、エッセイを書く中で、聞かれた質問にしっかりと回答しているのに、なんかイマイチ…自分でもわかる迫力の無さ…文字量の割に内容が薄い…ことを多々経験しました。

カウンセラーに「So, what?」と深掘りされる時、どんな回答を期待して質問されているのか全く理解できないこともありました。「(心の声)いや、聞かれた質問にはすべて答えているし、内容は問題ないと思うし、So, what?と聞かれても、これ以上でも以下でも無いんだけど…So, what?って逆にこっちが聞きたい」と思うこともありました。

今思えば、これらは「アドミッションにアクションを起こさせる」という目的意識の薄さに問題があったのだと思います。

「アクションを起こさせる」ためのstorytelling

そして、その大前提のもとにstorytellingは成り立っています。

極論を言えば「伝える」だけが目的なら、storyである必要はなく、シンプルな事実の羅列で十分です。一方で、「アクションを起こさせる」という目的に対しては、前述の講義での文章にもあるように、事実だけでは不十分。storytellingが求められるのです。

 

エッセイにおいて、具体的なstorytellingのテクニック論に入る前に、「アクションを起こさせる」という目的をしっかりと明確にしよう、そう思った次第です。

 

 

【MBAの週末】Ithaca Farmers Market

カレッジタウンから車で10分程度の場所にあるイサカファーマーズマーケットへ。

Ithaca Farmers Market | LOCAL vegetables, fruit, meat, prepared foods and crafts

 

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バンドによる陽気な音楽が流れ、野菜やワイン、工芸品、アップルサイダー等様々なジャンルの店舗を散策することが出来ます。

 

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買い物に加えて、様々な国の料理を楽しむことが出来ます。キノコのピザ絶品。

 

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ズッキーニを2種類購入してみました。

 

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マーケットのすぐ裏手には南北約60kmの細長い湖、Cayuga Lakeの南端が。

 

【受験雑感_1】自分はなぜ合格したか?

合格の連絡を受け取ってはや1か月が過ぎ、渡米へ向けての準備を進める毎日です。ビザも下りていないので、まだ正式なMBA Candidateではないですが、カウンセラーや在校生・卒業生への連絡や再会を通して、徐々に合格の実感がわいてきました。

ここで、自分の記憶が新しいうちに、カウンセラーや予備校の先生との振り返りを踏まえ、MBA受験への雑感をまとめておきたいと思います。

 

-----なぜ合格できたか?

運が良かったです。

もちろん、必死に勉強をして、時間のある限りエッセイをブラッシュアップし、インタビューに備えましたが、それは誰もが行っているはずで、その点において自らが勝っていたと言う気には正直なれません。

 

ただ、それを言っちゃぁ…な気もするので、「合格した後から、後追いの理由をつけて合理化しても意味がない」と理解した上であえて分析すると、

私の場合は、テストスコアでぎりぎりテーブルに乗り、FitとDiversityで引き上げてもらった、ということを感じます。

テストスコア

私の出願スコアは、GMAT 680、IELTS 7.5で、30歳、男性、純ドメ、私費というスペックと合わせても、なんとかテーブルに乗る程度の水準でした。

実際に、アゴスの2016年度合格者データを見ても、GROUP B(TOP20)の平均GMATスコアが680.9と、ちょうど平均といったところ。一方で、GROUP A(TOP10)で見ると、680ではmid 80%にも入れないという現実があります。

【参考】MBAトップ校合格者のスコアは何点? ~2016年度合格者分析より~ – アゴスニュース

 

FitとDiversity

一方で、FitDiversityという概念については、受験を始めてから、自分の中での価値観が大きく変わり、この2点の追求と、適切なアピールが合格へと近づけてくれた一因となったと考えています。

 

Fitという言葉とは、MBAを志してから幾度となく至る所で耳にするものです。

The most common advice given to prospective students who want to get an MBA is to select a business school based on “fit.”

※参考

poetsandquants.com

どのようにFitを感じ、アプライにつなげたかについては別に書きたいと思っていますが、この部分に非常に力を費やしました。(これには、早い段階でone and onlyの志望校が決まっていたという特殊事情もあります)

受験開始時には、Fitの意味がよくわからなかった私も(就活でいう"ご縁"のような、受験生を落とす為の逃げ口上かと思っていました)、ビジットを2回行い、卒業生・在校生10名以上に話を聞き、クラブにコンタクトを取り、アドミッションと6回顔を合わせたことで、Fitの正体をある程度論理的に分解することができ、エッセイやインタビューを通して効果的にアピールすることができました。

 

また、Diversity、多様であることが価値を持つという考えは、比較的ニッチなキャリアを一貫して辿っていた私にとって、自らを差別化する良いポイントとなりました。当初は、金融でもコンサルでも商社でもない自らのバックグラウンドが不利になると考えていましたが、カウンセラーとの対話を通して、むしろ自分の強みとしてアピールすることができました。

ただ単に、自らの多様性(いかにuniqueか)をアピールするだけではなく、その多様性を持って学校やクラスにどのように貢献できるか(異なるということをいかに価値に変えるか)という部分について論理的に伝えることを意識しました。

 

これらの積み重ねによって、決して高くはないスコアながらも、運良くAdcomに評価をして頂いた、ということを感じています。